指導案を書くのは大変ですよね。
特に悩ましいのが評価基準です。
教科や単元によっては、どのように評価基準を設定したらよいか悩んでしまいます。
この記事では、評価基準を考える時に意識するといいことをまとめました。
出典は文部科学省の出している資料等です。
指導案の評価基準の書き方で悩んでいる先生方の力になれたら嬉しいです!
〈プロフィール〉
・小学校教員、家庭教師、塾、学童など様々な学校現場を経験。
・現在はその経験を活かして教育記事を執筆中。
学習指導要領に沿った評価基準
評価基準は、学習指導要領に示された教科の目標と評価の観点に沿って設定します。
教科の目標とは、各教科で育成するべき知識・技能や思考力・判断力・表現力などの資質・能力のことです。
例えば、国語科の目標は、「国語を通して,豊かな感性や想像力を養い,自ら考え,主体的に学ぶ態度を育てるとともに,言語を正しく理解し,適切に用いる力を培うこと」となっています。
評価の観点とは、教科の目標や内容に照らして、児童生徒の学習状況を分析的に捉えるための観点のことです。
評価の観点は、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう人間性の3つに整理されています。
例えば、国語科で「話すこと・聞くこと」を指導する場合、評価の観点は以下のようになります。
知識・技能:話すこと・聞くことに必要な言語知識やルールを理解し、必要な技能を身につけているか
思考力・判断力・表現力:話すこと・聞くことにおいて、自分の考えや感想を伝えたり、相手の意見や情報を受け止めたりする際に、思考力や判断力や表現力を発揮しているか
学びに向かう人間性:話すこと・聞くことにおいて、自ら積極的に関わろうとしたり、自分の学習を調整しようとしたりする態度を示しているか
以上が、「学習指導要領に沿った評価基準」についての説明です。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。
教科目標や教科内容から評価基準を作成
教科目標や教科内容から評価基準を作成する方法は3つあります。
教科目標や教科内容の文末を「~している」と書き換える
評価基準は、教科目標や教科内容の文末を「~している」と書き換えることで、簡単に作成することができます。
例えば国語でいうと、「国語の基礎的な知識や技能を身につける」→「国語の基礎的な知識や技能を身につけている」といった具合です。
「~している」という表現を具体化する
また、「~している」という表現を具体化する方法もあります。
例えば、「国語の基礎的な知識や技能を身につけている」→「漢字や語彙,文法,表記法などの国語の基礎的な知識や技能を身につけている」というように、具体的に記載することもできます。。
具体化した表現を評価の観点に分類する
最後に、具体化した表現を評価の観点に分類する方法を解説します。
先ほどの例で言うと「漢字や語彙,文法,表記法などの国語の基礎的な知識や技能を身につけている」
→「知識・技能:漢字や語彙,文法,表記法などの国語の基礎的な知識や技能を身につけている」
「学びに向かう人間性:身につけた漢字や語彙,文法,表記法などの国語の基礎的な知識や技能を積極的に生活に活かそうとしている」というように、適した観点に分類する方法です。
以上が3点が、教科目標や教科内容から評価基準を作成する方法についての説明でした。
オリジナリティと適切性をもたせる評価基準
「オリジナリティと適切性をもたせる評価基準」とは、学校や教師独自の単元や授業に合わせて、児童生徒の学びや成長に応じた評価基準を作成することです。
評価基準は、学習指導要領に示された教科の目標や評価の観点に沿って設定することが基本です。
しかし、それだけでは児童生徒の多様な学びや成果を評価することができない場合もあります。
そのような場合は、教科目標や教科内容から作成した評価基準を、学校や教師の創意工夫を生かして、オリジナリティと適切性をもたせることが重要になってきます。
オリジナリティと適切性をもたせる評価基準を作成する方法として2つ紹介します。
単元や授業の特色やねらいを明確にする
その単元ならではの特色や、その単元だからこそ身につけたい力を言語化して、自分なりに整理することが大切です。
例えば、国語科で『お話し会』を行うとします。
この単元の特色は『話すこと・聞くこと』の技能を高めること、ねらいは『自分の考えや感想を相手に伝える力』や『相手の話を聞いて理解する力』を育てること、と言語化できたことで、単元や授業の特色やねらいが明確になります。
単元の特色やねらいが明確になることで、たとえオリジナリティな実践でも、適切性が保証されます。
特色やねらいに沿って、評価基準を修正・追加する
先ほど同様、国語科で『お話し会』を行うとします。
教科目標や教科内容から作成した評価基準は、「思考・判断・表現:話すこと・聞くことにおいて,自分の考えや感想を伝えたり,相手の意見や情報を受け止めたりする際に,思考力や判断力や表現力を発揮している」です。
しかし、先ほど特色やねらいを明確にしたことで、「『知識・技能:話すこと・聞くことにおいて,声の大きさや抑揚,話し方,聞き方などの技能を用いてコミュニケーションができる』という評価基準を追加できるのでは」と考えることもできます。
以上が特色やねらいを改めて言語化したことで、自分の中で考えが整理されて、評価基準の修正案や追加案が思い浮かんだ例でした。
指導する領域を明確にする評価基準
「指導する領域を明確にする評価基準」とは、各教科で指導する領域(国語科だと話すこと・聞くこと、書くこと、読むことなど)が明確になるように、指導事項の冒頭に記載することです。
評価基準は、児童生徒の学びの姿や成果を明確にするために作成するものですが、それだけではどの領域に焦点を当てるべきかわかりにくい場合もあります。
そのような場合は、指導する領域を明確にすることで、評価基準の理解や活用が進むこともあります。
指導する領域を明確にするために、冒頭に領域を括弧書きで記載する方法もあります。
例えば、「(話すこと・聞くこと)自分の考えや感想を伝えたり、相手の意見や情報を受け止めたりする際に、思考力や判断力や表現力を発揮している」といった具合です。
このように指導する領域を明確にすることで評価基準の理解を深めることもあります。
柔軟性をもって評価基準を活用
「柔軟性をもって評価基準を活用」とは、評価基準を固定的に適用するのではなく、児童生徒の学びや成長に応じて、流動的に適宜修正したり、補足したり、省略したりすることです。
柔軟性をもって評価基準を活用する方法として、必要に応じて修正・追加することが考えられます。
国語科で『お話し会』を行うとします。
教科目標や教科内容から作成した評価基準に加えて、
話すこと・聞くことにおいて,声の大きさや抑揚,話し方,聞き方などの技能を用いてコミュニケーションができるという評価基準を追加する、ということもできます。
まとめ
まとめると以下のようになります。
- 評価基準とは、教科や単元の目標を達成するために、児童生徒の学習状況を評価するための基準である。
- 評価基準は、教科目標や教科内容の文末に「~している」という表現を付け加えて作成する。
- 評価基準は、教科の目標や評価の観点に沿って設定することが基本であるが、学校や教師独自の単元や授業に合わせて、オリジナリティと適切性をもたせることが重要である。
- 評価基準は、冒頭に領域を明記することで、評価基準の理解や活用を促進することができる。
- 評価基準は、柔軟性をもって活用することで、適切に評価することができる。
指導案を書くことは、単に形式的なものではなく、自分の授業の目的やゴールを明確にすることです。
もちろん、時間や労力がかかりますが、指導案を書くことで自分の考えが整理されるのもまた事実です。
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先生方が満足いく授業ができることを願っています!
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