算数障害とは、算数や数学に関する学習や理解に困難を抱える状態のことです。
これは、知能や努力とは関係なく、個人差や発達段階によってさまざまな症状が現れます。
算数障害の原因や治療法はまだ十分に解明されていませんが、早期発見と適切な支援が重要です。
この記事では、算数障害の診断テストについて、以下の内容を紹介します。
・算数障害の診断テストとは何か
・算数障害の診断テストの種類と特徴
・算数障害の診断テストの受け方と注意点
・算数障害の診断テストの結果の読み方と対策
〈プロフィール〉
・小学校教員、家庭教師、塾、学童など様々な学校現場を経験。
・現在はその経験を活かして教育記事を執筆中。
算数障害の診断テストの目的
算数障害の診断テストとは、算数障害の有無や程度、タイプ、強みや弱みなどを判定するための検査のことです。
診断テストは、主に以下の目的で行われます。
算数障害のスクリーニング
算数障害の可能性があるかどうかを簡易的に調べる
算数障害の診断
算数障害の診断基準に沿って、算数障害と診断できるかどうかを判断する
算数障害の評価
算数障害の程度やタイプ、強みや弱みなどを詳細に分析する
算数障害のフォローアップ
算数障害の支援や治療の効果や進捗を確認する
算数障害の診断テストは、一般的には、専門家(臨床心理士や発達障害の専門医など)が行うものですが、自己診断やオンライン診断など、自分で行えるものもあります。
しかし、自分で行う診断テストは、あくまで参考程度にとどめておく必要があります。
算数障害の正確な診断や支援には、専門家の判断やアドバイスが必要です。
算数障害の診断テストの種類と特徴
算数障害の診断テストには、さまざまな種類があります。
ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。
算数能力検査
算数の基礎的な知識や技能を測るテストです。
算数の各分野(数の概念、計算、応用問題など)について、問題を解く時間や正答率などを評価します。
算数能力検査には、以下のようなものがあります。
算数能力検査(SAB)
日本で最も広く用いられる算数能力検査です。
算数の各分野について、年齢に応じた問題を解かせます。
算数能力検査は、算数障害のスクリーニングや診断に用いられます。
算数能力検査改訂版(SAB-R)
算数能力検査の改訂版です。
算数能力検査と同様に、算数の各分野について、年齢に応じた問題を解かせます。
算数能力検査改訂版は、算数障害のスクリーニングや診断に用いられます。
算数能力検査Ⅱ(SAB-II)
算数能力検査の発展版です。
こちらも算数能力検査と同様に、算数の各分野について、年齢に応じた問題を解かせます。
算数能力検査Ⅱは、算数障害の評価やフォローアップに用いられます。
算数障害検査
算数障害の特徴や原因を探るテストです。
算数障害のタイプや強みや弱みを明らかにすることで、個別化された支援や治療の方針を立てることができます。
算数障害検査には、以下のようなものがあります。
算数障害検査(DAB)
算数障害のタイプを判別するテストです。
算数障害は、大きく分けて、言語型(数の読み書きや計算の言語化に困難がある)、空間型(数の位置や方向、図形の認識に困難がある)、記憶型(数や計算の記憶や再生に困難がある)、理解型(数の概念や計算の理解に困難がある)の4つに分類されます。
算数障害検査では、これらのタイプに応じた問題を解かせます。
検査の結果は、算数障害の評価やフォローアップに用いられます。
算数障害検査改訂版(DAB-R)
算数障害検査の改訂版です。
算数障害検査と同様に、算数障害のタイプを判別するテストです。
算数障害検査Ⅱ(DAB-II)
算数障害検査の発展版です。
算数障害検査と同様に、算数障害のタイプを判別するテストです。
算数障害検査Ⅱも同様に、算数障害の評価やフォローアップに用いられます。
自己診断やオンライン診断
自分で行える算数障害の診断テストです。
インターネットや書籍などで、算数障害のチェックリストや問題集などを見つけることができます。
自己診断やオンライン診断は、算数障害の可能性を自覚するきっかけになるかもしれませんが、正確さや信頼性には限界があります。
自己診断やオンライン診断の結果に過度に依存したり、不安になったりしないように注意しましょう。
算数障害の診断テストの受け方
算数障害の診断テストを受けるには、以下の手順を踏むことが一般的です。
「算数障害の可能性がある」と感じたら、まずは、学校や家庭での様子や困りごとを相談しましょう。
相談相手は、教師や保健医、学校心理士、家族などが適切です。
相談を通して、算数障害の診断テストを受ける必要があるかどうかを判断します。
算数障害の診断テストを受ける必要があると判断されたら、専門家に紹介してもらいましょう。
専門家は、臨床心理士や発達障害の専門医などがあります。
紹介先は、学校や地域の支援センター、病院などがあります。
紹介を受けることで、診断テストを受ける権利や費用の補助などのサポートを受けることができます。
専門家による算数障害の診断テストを受けます。
検査は、通常、数回に分けて行われ、算数能力検査や算数障害検査のほかに、知能検査や発達検査、面接や観察なども行われます。
検査は、個人差や状況によって異なりますが、おおよそ2~3時間程度かかります。
検査の結果を専門家から説明してもらいます。
算数障害の有無や程度、タイプ、強みや弱みなどを示す数値やグラフなどで表されます。
検査の結果は、算数障害の診断や支援や治療の方針を決めるための重要な情報です。
算数障害の診断テストを受けるときの注意点
算数障害の診断テストを受けるときには、以下の点に注意しましょう。
気持ちの準備
算数障害の診断テストは、算数に苦手意識や不安を抱えている人にとっては、ストレスやプレッシャーになるかもしれません。
しかし、診断テストは、算数の能力や成績を評価するものではなく、算数の学習や理解に困っている原因や特徴を探るものです。
自分の強みや弱みを知ることで、自分に合った支援や治療を受けることができるチャンスです。
算数障害の診断テストを受ける前には、気持ちを落ち着かせて、リラックスしましょう。
正直に答える
算数障害の診断テストでは、算数の問題だけでなく、自分の感情や思考や行動についても尋ねられることがあります。
その際は、正直に自分の気持ちや考えを伝えることが大切です。
算数障害の診断テストは、自分を理解してもらうためのものです。
そのため、自分を偽ったり、隠したりしないようにしましょう。
質問する
算数障害の診断テストでは、問題の意味や方法が分からないときや、不安や疑問があるときには、遠慮せずに質問しましょう。
診断テストは、自分の算数の困りごとを解決するためのものです。
質問することで、自分の状況やニーズを伝えることができます。
算数障害の診断テストの結果の読み方と対策
算数障害の診断テストの結果は、専門家から説明してもらいますが、自分でも理解できるようになると、より有効な支援や治療を受けることができます。
算数障害の診断テストの結果の読み方と対策について、以下の点に注意しましょう。
算数障害の有無
算数障害の有無は、算数能力検査の結果と知能検査の結果を比較することで判断されます。
検査の結果が知能検査の結果よりも著しく低い場合、算数障害と診断されます。
算数障害と診断された場合、算数障害の診断書を発行してもらうことができます。
この診断書は、学校や社会での支援や配慮を受けるための重要な証明書です。
算数障害の程度
算数障害の診断テストの結果は、算数障害の程度も示します。
算数障害の程度は、算数能力検査の結果の平均値や偏差値などで表され、軽度、中度、重度などに分類されます。
算数障害の程度は、算数の学習や理解にどのくらい困難があるかを示すもので、程度に応じて、必要な支援や治療の内容や強度が異なります。
算数障害のタイプ
算数障害のタイプは、算数障害検査の結果によって判別されます。
タイプは、言語型、空間型、記憶型、理解型の4つに分類されます。
これらは、算数の困りごとの原因や特徴を示すもので、タイプに応じて適切な支援や治療の方法が異なります。
算数障害の強みや弱み
算数障害の強みや弱みは、算数能力検査や算数障害検査の結果の各項目の得点や偏差値などで表されます。
算数障害の強みや弱みは、算数の各分野(数の概念、計算、応用問題など)における能力や苦手意識を示すものです。
それ応じて、個別化された支援や治療の計画を立てることができます。
診断テストの活用の仕方
算数障害の診断テストの結果をもとに、算数障害の対策を考えるときには、以下の点に注意しましょう。
専門家のアドバイスを聞く
算数障害の診断テストの結果をもとに、専門家からアドバイスを受けることができます。
専門家は、診断テストの結果を詳しく説明してくれるだけでなく、算数障害の支援や治療の方針や方法を提案してくれます。
専門家のアドバイスは、算数障害の対策に役立つ貴重な情報です。
アドバイスを聞くことで、自分に合った支援や治療を受けることができます。
自分の気持ちを大切にする
算数障害の診断テストの結果は、自分の気持ちに影響を与えるかもしれません。
結果によって、安心したり、驚いたり、悲しんだり、怒ったり、恥ずかしがったりすることがあるかもしれません。
ですが、診断結果は自分の算数の能力や成績を否定するものではありません。
「自分の算数の困りごとを解決するための手がかりである」と前向きに受け止めましょう。
また、自分の気持ちを素直に受け止めて、自分を認めてあげることも大切です。
周囲の理解や協力を求める
算数障害の診断テストの結果によって、周囲の理解や協力を得ることができます。
家族や友人、教師や同級生、上司や同僚などに結果を知らせることで、算数障害の状況やニーズを理解してくれるかもしれません。
また、算数障害の支援や治療について協力を得られることもあるでしょう。
周囲の理解や協力は、算数障害の対策に欠かせない要素です。
周囲の理解や協力を求めることで、算数障害の学習や生活をより快適にすることができます。
おわりに
算数障害の診断テストは、算数障害の有無や程度、タイプ、強みや弱みなどを知ることができる有用なツールです。
診断テストを受けることで、自分に合った支援や治療を受けることができます。
また、診断テストを受けるときには、気持ちの準備や正直に答えること、質問することなどが大切です。
診断結果をもとに、専門家のアドバイスを聞いたり、自分の気持ちを大切にしたり、周囲の理解や協力を求めたりすることができます。
算数障害の診断テストは、算数障害の対策の第一歩です。
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