教員は多くの責任やストレスを抱えており、体調や精神面で不安定になることも少なくありません。
そんな時に利用できる制度が、病気休暇です。
病気休暇とは、ケガや病気で仕事ができない場合に取得できる休暇です。
教員は公務員ですから、一般企業よりも優遇された待遇で病気休暇を取得することができます。
しかし、病気休暇中はボーナスに影響があります。
ボーナスは勤勉手当という名目で支給されますから、働けない期間が長くなれば減額されてしまいます。
この記事では、教員の病気休暇について、
- 種類と期間
- 給料とボーナス
- 手続きと注意点
の3つの観点から詳しく解説していきます。
教員の病気休暇に関する疑問や不安を解消するために、ぜひ参考にしてください。
〈プロフィール〉
・小学校教員、家庭教師、塾、学童など様々な学校現場を経験。
・現在はその経験を活かして教育記事を執筆中。
病気休暇の種類と期間
教員の病気休暇には、病気休暇と病気休職の2種類があります。
それぞれの違いと期間について説明します。
病気休暇
病気休暇とは、教員が自ら申請して取得する休暇です。
入院や手術など、仕事ができないほどのケガや病気になった場合に取得できます。
病気休暇の期間は、最大90日間です。
ただし、自治体によっては180日間まで延長できる場合もあります。
延長する場合は、医師の診断書が必要です。
病気休職
病気休職とは、教員が病気休暇を使い切っても回復しない場合に、教育委員会が指示して取得する休職です。
うつ病など、長期間の治療が必要な場合に取得できます。
病気休職の期間は、最大3年間です。
ただし、1年ごとに医師の診断書が必要です。
また、3年を超える場合は退職することになります。
病気休暇中の給料とボーナス
教員の病気休暇中は、給料とボーナスにどのような影響があるのでしょうか?
ここでは、それぞれの支給状況と計算方法を説明します。
給料は満額支給
教員の病気休暇中は、給料は満額(100%)支給されます。
これは非常にありがたい制度です。
一般企業では、有給や年休を使い切ったら無給になることもありますが、教員はそういう心配がありません。
ただし、給料は満額支給されますが、ボーナスは減額されます。
ボーナスは勤勉手当という名目で支給されますから、働けない期間が長くなれば減額されてしまいます。
ボーナスは過去半年間の勤務状況に応じて減額
教員のボーナスは、ボーナス時期からさかのぼって過去半年間の勤務状況に応じて支給されます。
つまり、
- 6月末に支給されるボーナスは、前年12月1日から当年5月31日までの勤務状況を基準とする
- 12月末に支給されるボーナスは、当年6月1日から11月30日までの勤務状況を基準とする
ということです。
具体的な計算方法は以下の通りです。
- ボーナス時期からさかのぼって過去半年間の出勤日数を求める
- 出勤日数を180日で割って、出勤日数に応じた割合を求める
- ボーナスの基準額に割合をかけてボーナスの支給額を求める
例えば、ある教員が6月末に支給されるボーナスの計算をするとします。
この教員は、前年12月1日から当年5月31日までの間に、病気休暇で10日間休んだとします。
この場合、
- 過去半年間の出勤日数は180日から10日を引いて170日
- 出勤日数に応じた割合は170日÷180日で約0.94
- ボーナスの基準額が100万円だとすると、支給額は100万円×0.94で約94万円
ということになります。
つまり、病気休暇で10日間休んだことで、ボーナスが約6万円減額されたということです。
病気休職中の給料とボーナス
病気休職中は、給料とボーナスにどのような影響があるのでしょうか?
ここでは、それぞれの支給状況と計算方法を説明します。
給料は基本給の80%支給
教員の病気休職中は、給料は基本給の80%(8割)支給されます。
これは一般企業よりもまだ良い方ですが、病気休暇時と比べると大幅に減額されます。
ただし、給料は基本給の80%支給されますが、ボーナスは病気休暇時と同様に減額されます。
ボーナスは勤勉手当という名目で支給されますから、働けない期間が長くなれば減額されてしまいます。
ボーナスは過去半年間の勤務状況に応じて減額
教員のボーナスは、ボーナス時期からさかのぼって過去半年間の勤務状況に応じて支給されます。
つまり、
- 6月末に支給されるボーナスは、前年12月1日から当年5月31日までの勤務状況を基準とする
- 12月末に支給されるボーナスは、当年6月1日から11月30日までの勤務状況を基準とする
ということです。
具体的な計算方法は以下の通りです。
- ボーナス時期からさかのぼって過去半年間の出勤日数を求める
- 出勤日数を180日で割って出勤日数に応じた割合を求める
- ボーナスの基準額に割合をかけてボーナスの支給額を求める
例えば、ある教員が6月末に支給されるボーナスの計算をするとします。
この教員は、前年12月1日から当年5月31日までの間に、病気休職で90日間休んだとします。
この場合、
- 過去半年間の出勤日数は180日から90日を引いて90日
- 出勤日数に応じた割合は90日÷180日で0.5
- ボーナスの基準額が100万円だとすると、支給額は100万円×0.5で50万円
ということになります。
つまり、病気休職で90日間休んだことで、ボーナスが半額に減額されたということです。
病気休暇・休職の手続きと注意点
教員の病気休暇・休職を取得するには、以下のような手続きや注意点があります。
忘れずに行うようにしましょう。
病院で診断書をもらう
病気休暇・休職を取得するには、病院で診断書をもらう必要があります。
診断書には、病名や治療期間、休暇・休職の必要性などが記載されています。
診断書は、教育委員会に提出するだけでなく、自分で保管しておくことも大切です。
教育委員会に申請書を提出する
病気休暇・休職を取得するには、教育委員会に申請書を提出する必要があります。
申請書には、休暇・休職の理由や期間、連絡先などが記入されています。
申請書は、教育委員会の指定するフォーマットに従って作成しましょう。
期間や延長の申請は事前に行う
病気休暇・休職の期間や延長の申請は、事前に行う必要があります。
事後申請は原則として認められません。
ただし、急な入院や手術など、やむを得ない事情がある場合は例外として認められる場合もあります。
その場合は、速やかに教育委員会に連絡しましょう。
保険や税金などの手続きも忘れないように注意する
病気休暇・休職中は、保険や税金などの手続きも忘れないように注意する必要があります。
例えば、
- 健康保険や厚生年金保険の被保険者資格喪失届や再加入届
- 所得税や住民税の確定申告や減免申請
- 国民年金の免除申請
- 子ども手当や特別児童扶養手当の受給停止届や再開届
などがあります。
これらの手続きは、教育委員会や市役所などの窓口で行うことができます。
期限や条件を確認しておきましょう。
おわりに
この記事では、教員の病気休暇・休職について、
・種類と期間
・給料とボーナス
・手続きと注意点
の3つの観点から詳しく解説しました。
教員の病気休暇・休職は、体調や精神面の回復に専念するためにも、制度を利用することをおすすめします。
もし、この記事を読んでくださった方が心を病まれているのであれば、一刻も早い回復を願っております・・!
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